徒然草 第百七十一段 貝を覆ふ人が

 <第百七十一段>
 貝を覆ふ人の、わが前なるをば置きて、よそを見渡して、ひとの袖の陰、膝の下まで目を配る間に、前なるをば人に覆われぬ。よく覆ふ人は、よそまでわりなく取るとは見えずして、近きばかり覆ふやうなれど、多く覆ふなり。碁盤の隅に、石を立ててはじくに、向かひなる石を目守りてはじくは当たらず、我が手元をよく見て、ここなる聖目を直ぐにはじけば、立てたる石必ず当たる。

 よろずのこと外に向きて求むべからず、ただここもとを正しくすべし。 

 <現代語訳/武田友宏 角川ソフィア文庫より>
 ・・・貝覆いをする人が、自分の前にある貝を見張らず、よそを見渡しながら、他人の袖の陰や膝の下まで視線を走らせている隙に、手元の貝を他人に覆われてしまう。上手な人は、よその貝まで無理に取ろうとせず、自分の手元の会ばかりを覆うように見えるが、最終的には人よりも多く覆っている。

 碁盤の隅に碁石を置いて、対角線上の向こう側にある意思に当てようとはじく時に、向こうの石を見つめながらはじくと当たらない。自分の手元をよく見て、手前の聖目を見つめながら対角線上を真っすぐにはじくと必ず命中するものだ。

 何事も、自分の外に向かってあれこれ求めてはならない。自分に目を向けて、自分が今やるべきことに全力を注げばよいのだ。

*****
 深いなあ。
 ひれ伏しますわ。
 
CDやLive、Lessonのお問合せは、taka(アットマーク)tbi.t-com.ne.jpまで。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック