「東大話法のトリック」安富歩さんの本

「何かがおかしい、原子力ムラの人たちの話法」 
  「原発危機と『東大話法』―傍観者の論理と欺瞞の言葉 /安富歩」明石書店
  ・・・2012年3月23日 毎日新聞・夕刊 「特集ワイド」より
 学識豊かで、丁寧で、語り口もスマート・・・なのに、何かがおかしい。「原子力ムラ」の人たちを取材してきて、そう感じてきた。そんなモヤモヤを晴らしてくれる人がいると聞き、会いに行った。【宍戸護】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120323dde012040042000c.html

 この本は気になりつつもまだ読んでいなかったが、毎日新聞でこのように著者ご本人に取材してくださって、こうして一端を目にする事ができ、ありがたい。

 小出裕章さんと大橋東大教授とのプルサーマルに関する例の討論会の映像を見て、小出さんが正しい事は明白なのにもかかわらず、大橋教授のこの自信に満ちた物言いに、はらわたの煮えくり返る思いがする。
  議論に負けた事のないという小出さんが正攻法で攻めれば攻めるほど、その正しさを鼻の横から見下して笑う恐るべきふてぶてしさに、怒りを超えるも、私の貧しい語彙の中では、「この大橋という人間は邪悪なのだ」とつぶやくしかなかった。
 話は逸れるが、皆さんYouTubeを見ましたか?大橋・東大教授はその討論会で『プルトニウムは呑んでも大丈夫』と言い放ち、推進派で自分の周りを固め、一人奮闘する小出さんを孤立させ、正しい事を弱く見せる・・・そんな卑劣なやり口に、いったい、その会場にいた大勢の人は吐き気を催さなかったのだろうか、と私は思う。

斑目委員長のこの2・3日の、「ストレステストは一時検査では不十分」、或いは、「過去に保安員に危険性を指摘していた」という、自分は責任は果たしていると言いたげな突然の国との距離の置き方も、『何かがおかしい』と感覚的に思う。言葉は一見筋が通って見えるのだが、なにかキナクサい。

 安富さんは、「原発を推進させたのは、『世界』 であり 『わが国』」、という言い方、或いは 『客観的に見れば・・・』という常套句、それらは、権力を持った側と持たない側をごっちゃにして、自分の議論を公平に見せる手段だという。そしてそれらは、『そもそも原発自体、(その人たちにとって)ごはんを食べるための手段にすぎない』ことを明らかにしている。小出さんだったら「僕は福島の事故とは関係ないけれども」とは決して言わないだろう、と。

 故・高木仁三郎さんも「自分があるようで実はないのですから、事故があったときに本当に自分の責任を自覚することになかなかなっていかないのです。ですから、何回事故を起こしても本当に個人個人の責任にならない・・・」と著書『原発事故はなぜくりかえすのか」で批判されているそうだ。

  私たちひとりひとりが、その言葉に翻弄されないように意識を高く持たなくてはならない。大変だけど。
 
安富さんは言う。
 ・・・東大話法とはヘリクツの表現方法なんです。
 ・・・肩書きが立派というだけで信じてはいけない。それと、意外に思われるかもしれませんが、信頼に値する仕事をしてきた人たちは個性的な容貌を持ち、いい笑顔の人が多い。

そして記者の宍戸さんはこう結んでいる。
 ・・・まずは、権威の言葉を鵜呑みにする私たち自身の姿勢を改める事、身近な常識や感覚に照らしてみる事が第一歩なのかもしれない。


***

   安富さんの分析による≪東大話法の規則≫

1.自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
2.自分の立場の都合のいいように相手の話を解釈する。
3.都合の悪い事は無視し、都合のよい事だけを返事する。
4.都合のよい事がない場合には、関係ない話をしてお茶を濁す。
5.どんなにいいかげんでつじつまが合わないことでも、自信満々に話す。
6.自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
7.その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
8.自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
9.「誤解を恐れずに言えば」と言って、うそをつく。
10.スケープゴートを侮辱する事で、読者・聴き手を恫喝し、迎合的な態度をとらせる。
11.相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
12.自分の議論を「公平だ」と無根拠に断言する。
13.自分の立場に沿って、都合の良い話を集める。
14.羊頭狗肉(見掛け倒しの事)
15.わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
16.わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
17.ああでもない、こうでもないと自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
18.ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落す。
19.全体のバランスを常に考えて発言せよ。
20.「もし○○○○であるとしたら、おわびします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。



***

感覚的に嫌な感じ、キナ臭さなど、言葉に出来ないもどかしさを整然と言葉にしてくれると、手の届かない背中をちょうどよく掻いてもらっているようだ。


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